不思議カウント

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2016年12月6日火曜日

ペルー初のクローン牛誕生のニュースで思い出すラエリアン・ムーブメントという宗教組織


初めてクローン羊のドリーのニュースを耳にしたときは、なんというかなんとも言えない気分になったことを覚えています。SF小説なんかでしか見ることのなかったクローンという単語が現実になった興奮もありながら、本当にその技術が現実のものになってしまったちょっとした恐怖感みたいなものもあったように思います。

しかし、ドリーのニュースもおおよそもう20年前のことで、クローン技術もさらなる進歩を続けています。最近では、ペルーで初めてとなるクローン技術による子牛が誕生したというニュースをご紹介します。



ペルーのアマゾン地域の学者が牛の耳の細胞からクローンを作ることに成功した。この功績は90年代にクローン羊のドリーがつくられたのと同種のものであり、絶滅の危機に瀕した野生動物の保存に新たな展望をひらくものである。 アルマC1と名付けられた仔牛は、一見したところ普通の牛に見えるかもしれないが、実は、今は亡き別の牛の完全なコピーである。アルマはペルー初のクローン動物となった。
クローン技術は絶滅危惧動物の個体数回復に希望をもたらすものである。現在、ペルーの研究者が目標としているのは、こうした絶滅危惧種に「ハンドクローニング」法を用いることである。UTRMは「絶滅の危機にある家畜や野生動物の遺伝子資源バンク」の創設に取り組んでいる。コルテス氏は言う。「これは細胞版のノアの方舟です。私たちは品評会で優勝した動物、つまり国内で最も優れた動物のサンプルを遺伝子保存のために集めました。このほか、メガネグマやアンデスネコやクルペオギツネなど、絶滅の危機に瀕した野生動物の細胞も保存しています。」
Sputnik 日本より

このニュースを見ていてふと思い出したのが、「そういえば数年前にクローン技術で人間を作り出したと発表していた宗教団体あったよな」というものでした。気になって調べてみると、その発表を行っていた宗教団体はラエリアン・ムーブメントというところでした。



このラエリアン・ムーブメントはフランスに本部を構える宗教団体で、2003年にクローン技術によって人間を誕生させたと発表し、2004年にも同様に同じような発表を行っています。しかし、後にそのクローン技術によって誕生したとされる赤ちゃんについての続報はなく、DNA鑑定も行われていないようです。

1997年2月、世界初のクローン羊の「ドリー」が誕生した。人々は科学技術の発展に歓呼の声をあげるとともに、羊をクローンできた以上、人間をクローンするのもそう遠くないのではないのか、と疑問を持たざるを得なかった。
2002年12月27日、「イブ」と名付けられた世界初のクローン人間が本当に誕生したと伝えられた。 この女の子はアメリカの邪教組織ラエリアン所属の企業「クローンエイド」社の「研究成果」である。この実験を担当したフランス人科学者のブリジット・ボワセリエ女史は、「われわれは試験用の胚胎を数百もつくったが、そのうち生きているのは五つしかない。すでに二人のクローン・ベビーが誕生したが、クローン・ベビーがまもなくさらに三人誕生する予定だ」と語った。
報道によると、「イブ」の「両親」は不妊症にかかったアメリカ人夫婦であり、二番目のクローン・ベビーの「両親」はオランダの女性の同性愛者である。まもなく誕生する三人のクローン・ベビーのうち、二人がアジアにおり、一人が北米にいる。 これらのベビーは本当にクローニングでつくられたのだろうか。その真偽はいまでも確かめようがない。最初のクローン・ベビーが誕生した後、その出産の場所と身分を検証したい科学者も一部いたが、「クローンエイド」社は両親が知られることに反対していることを口実に拒否した。二番目のクローン・ベビーの出産の場所と身分も検証が待たれている。実のところ、クローン人間の身分検証はさほど複雑ではなく、クローン・ベビーのDNAがクローン対象となった人のとまったく同じなのかどうかの検証も、一日でできる。しかし、いまのところ、DNA鑑定どころか、二人の赤ちゃんが存在している証拠さえも確認できないのである。そのため、多くの人はこれはペテンにすぎないと思っている。
北京週報より

このラエリアン・ムーブメントという団体は、ものすごい噛み砕いて説明すると地球上の人類はすべてエロヒムという地球外生命体によって、遺伝子工学によって作られたとする宗教団体です。エロヒムは最終的に自分たちの姿に似せて地球上の人類を作ったそうですので、すなわち我々はエロヒムのクローン的な存在なのだそうです。

このような主張を行っているためにラエリアン・ムーブメントとクローン技術というのは非常に関係が深く、先ほどのクローン技術によって人間の赤ちゃんを誕生させたという発表につながったのだと推測されます。しかし、世界で初めてのクローン羊であるドリーも何百もの失敗を重ねてようやく誕生した生命です。同様に、クローン技術によって人間を誕生させようとすると、何百もの卵子や母体、高い技術や施設が必要になります。このような条件をラエリアン・ムーブメントが用意できるとは考えにくく、このクローン赤ちゃんのニュースの信ぴょう性はほとんどないと言っていいんじゃないでしょうか。

ちなみにこのラエリアン・ムーブメント、日本にも支部があるようでなかなかぶっ飛んだ活動をされています。サイトに掲載されている活動中の写真をみるとみんなわりと楽しそうでちょっと微笑ましいです。関わりたくはありませんが。

日本ラエリアン・ムーブメント公式サイト