不思議カウント

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2017年2月3日金曜日

VRで体外離脱を体験する実験後、死への恐怖が和らぐという結果に


VR、バーチャルリアリティーは、いわゆる仮想現実のことです。例えば現在主流なのがゴーグル型の装置を装着して、その装置に映し出される映像を視ることによって現実のような世界を体験することができます。

テレビのようなディスプレイを通して映像を視る場合との違いは、自分の周囲360度が全て映像というところです。テレビなどの場合、視聴者はカメラで撮影された一方向しか視ることができませんが、VRの場合は気になる方向へ実際に視線を移した場合、その方向へ映像も移動します。ですので、現実のような視点移動が可能なのです。

このことから、VRは仮想の世界を現実のように体験することができます。また、最近では視点だけではなく、グローブ型の装置を装着することによって、自分の手とVR内のキャラクターの手の動きをシンクロさせたりするといった、さらなる仮想現実の拡張が試みられています。

このように、現実で体験できないことを体験できるツールであるVRを使って、現在さまざまな実験が行われています。最近行われた興味深い実験として、「体外離脱を体験する」というものがありました。


人間だけではなく、この世界に存在する生物すべてに訪れるものにも関わらず、いま現在存在しているすべての生物が体験したことのない死。ほとんどの場合、死は恐怖の対象です。ですが、その死へ多大な恐怖心には「死んだら自分がどうなるかわからない」というのも原因のひとつとしてあるのではないでしょうか。

そこに注目したのは、メル・スレーター(Mel Slater)という研究者です。メル・スレーターはバルセロナの大学チームと協力し、死を仮想体験するという実験を思いつきました。

この実験では、まず被験者に死をどれだけ思っているかを聞き出します。その後、VR装置を装着してもらい、死の仮想体験をしてもらいます。

実験の様子は動画で公開されています。


VR内では、被験者とVRの内のキャラクターの動きが連動しています。すなわち、被験者が手を動かせばVR内のキャラクターの手が動き、同様に足も動かすことができます。

VR装着後、被験者はまず手足を動かすことに集中してもらいます。前述したとおり、実際に被験者が手足を動かすとVR内でも同じように動くため、被験者は徐々にVR内のキャラクターが自分であると錯覚を始めます。

キャラクターの手足を動かすことに慣れ始めたとき、被験者が見ているVR内の視点が徐々に上昇していきます。すなわち、いままで一人称視点だったVR内の映像が、徐々に三人称視点となり、上空から自分の手足と連動しているキャラクターを視ることになるのです。

自分が感じている感覚と身体の位置がずれているというこの不思議な感覚は体外離脱と非常に似ています。実験では、この感覚を被験者に体験させることで、死後を表現したようです。

この実験後に、被験者に再び死をどう思うかを聞くと、実験前と比較して死への恐怖心が薄れているとの結果が出たそうです。


The Sun:HEAVEN OR HELL? Virtual reality death simulator could ‘cure society’s fear of dying’

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